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粉々に壊れたココロを拾い集める女たちの本音blog
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柚葉&焔
性別:
女性
職業:
社会人で女
趣味:
妄想
自己紹介:
濃い人生だねと言われること多し。実は、平凡・平和をこよなく愛する、怯えた子どもであることに気付き、血を吐きながら生きるふたり。
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気候の良い、雲のない夜、月が出ていた。


今日は朧月夜だよ、とあのひとが言った。

そう、とだけわたしは答えた。

空を見てごらん?とあの人が言う。

私は、ガラスの檻の中から、夜空を見上げた。


酒のせいなのか、飼い主に飲まされた薬のせいなのかわからないけれど、私が住むガラスの檻の中からは、月がいくつにも割れて、オレンジ色ににじんで見えた。

今夜の月は、あなたにはどんなふうに見える?とあのひとが言った。

今夜の月は割れているわ、とわたしは言った。

檻の外に出たら、月も違う色に見えるかもしれないよ、とあのひとが言った。

檻の外に出たら、生きていけないのよ、とわたしは言った。


あなたは、ひとりで夜空を見上げたことがある?とあのひとが言った。

わからない・・いつも、俯いているから、とわたしは言った。


月に向かって、手を伸ばしてごらん、とあのひとは言った。


手を伸ばしても、わたしの足元は、真っ黒いヘドロの泥濘にしっかりと捉まっていて、自力ではその足を動かすことすらできなかった。

怖くないよ、ここまでおいで、と、あのひとは言った。


生暖かい液体が、わたしの頬を伝って、素足の上にぽとぽと零れた。


いつまでも塞がらない傷口に、じくじくと血膿を滲ませていないで、指を突っ込んでぐちゃぐちゃにかき回して、膿を、どす黒い血を出し切ってしまおうと、ふいに思った。


うずくまる私に、何度も何度も、とにかく生きるのよ、と、焔は言った。

月も出ない、前方5メートルも視界がない台風の夜、私は焔との約束を果たす為にガラスの檻をブチ破って、全身血塗れのまま、走り出た。




投稿者:柚葉
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