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粉々に壊れたココロを拾い集める女たちの本音blog
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柚葉&焔
性別:
女性
職業:
社会人で女
趣味:
妄想
自己紹介:
濃い人生だねと言われること多し。実は、平凡・平和をこよなく愛する、怯えた子どもであることに気付き、血を吐きながら生きるふたり。
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私は、脳みそが足りないせいもあるけど、人の気持ちを慮ることができない。

なので、子ども達にも恐ろしく機械的に接する。

それでも最近は、マシになったほうだ。(と思う・・・)

おむつを換える、母乳を与える、必要な生活環境を提供するために働く・・・
これらのことは、まったく苦痛ではなく、無意識でもこなせる。

「とりあえず生きて生まれたものは、生かしておかなければ」

というだけの気持ちだった。

ただ、おむつもきれいにしてあって、胃袋も満たされていて、体中調べてもなにひとつ異常がないのに泣き止まない・・人間の赤ん坊なら当然のことに、非常に戸惑った。
逃げたくなるような気持ちにいつもなった。

深夜、田舎道を車でかっ飛ばし、隣の県の小児夜間救急へ駆け込んだことが数回あった。
そこで、小児科医に驚くようなことを言われ、なおさら戸惑った。

「言葉で表現できない赤ん坊はね、眠いのも、おなかが張って気分が悪いのも、甘えたいのも、泣くことでしか表現できないのよ。もちろんただなんとなく泣きたいだけ、ってときもあると思うよ?そうやって生まれてはじめてありのままの自分を受け入れてくれる存在が母親だって認識して成長していくのよ」

私は、人間でも動物でも植物でも同じように、生命を維持するための肉体的要求さえ満たせばそれでいい、成長になんの支障もないと思っていた。
まさか、言葉もしゃべれない、歩くこともできない小さな生き物に、試されるとは思わず驚いた。

初めての子どもを出産してから、私は、定期的に食べ物を食べられなくなったり、解離したりする回数が増え、よく栄養失調で倒れた。子どもは、アレルギーを持っていて、眠るヒマもないくらいに発作を起こした。
子どものための食事つくり、せんたくとそうじ、医療費を稼ぎ、病院を駆けずり回るだけで一日が終わった。

ふたりめの子どもが生まれてからは、アレルギー発作のダブルパンチになった。
ひとりが入院している間、もうひとりは保育所でケガをして病院へ担ぎ込まれる、退院したと思ったら、次は自分が倒れる、そんなふうにして10数年が過ぎた。

私は、子ども達に笑いかけることもしなかった。

きちんと薬を飲ませること
どんなに嫌がっても、身体に良い食事をさせること
常に家中をピカピカに磨き上げること
そのためにかかる経費は、死に物狂いで稼ぐこと

それだけしか考えていなかった。

見知らぬ親子が、笑いながら食事をしている、遊ぶ、じゃれる、そんな風景さえも眼に入ることはなかった。
月が出ていても、そのことにさえ気付かずに、いつも俯いていた。
雨が降れば気圧の変化に反応して発作を起こす子どもたちに、冷たい光を放つ眼を向けた。
寒ければ、皮膚のかゆみに耐えられず泣き喚く子どもを、一晩中車に乗せて走った。
自分のために、時間を使うことなど、許されるはずもない、と思っていた。


なにもかも、無駄だったとはいえないけれど、本当に必要なことはなにひとつしていなかった。


発作を起こしても、眠れなくても、子ども達に必要なのは、ただひとつだけ。

「大丈夫、ママはここにいるよ」

そういって抱きしめることだけだったんだ・・・

ただそれだけのことに気付くのに、10数年が経っていた。


投稿者:柚葉








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どんだけ興奮するのやろうかと思われた再会劇であったが、なんとまぁ、不思議なくらい普通であった。

何も緊張せん。
何も興奮せん。

あたりまえなのだ。
なぜか、自分が柚葉の隣にいることが当たり前なのだ。受け入れられていることを、信じるとか言葉に出す必要がないくらい、私は柚葉に丸ごと受け入れられていると知っている。


不思議だ。

柚葉ファミリーと焔ファミリーは、自分らのしたいようにして、ばらばらに、ときに協調したり、触れあって、したいように過ごしていた。何とも自然だ。客として気に入られなければとか、もてなさねばといった緊張感が双方ない。実に不思議で穏やかな時間だった。

楽しかったよ。

なんというか、ざわつく心を想像していたが、すっかり凪いだ心になって帰宅した。

自分の丸ごとを受け入れられていると知っている場所に行くと、人の心は、穏やかになるようだ。

-焔-
『明日が楽しみで、妙なテンションになってしまっている自分』

こんな私は、なんて滑稽で、面白いんだろう?とか思ってしまう。
落ち着かないので、こうして文章にしてみよう。

明日、2年ぶりくらいか?に焔と会う。
ふだんは、遠く離れて生活している私たち・・だけど、継続してコミュニケーションを取り合っている。
特定の人間と、継続した濃いコミュニケーションを持ち続けたことのない私たちが、電子の海の中で奇跡のような出会いをしてから、もう4年が経つ。

私たちは、立場も状況も違うが、似たような地獄にいた。
もがき、足掻き、体中の毛を逆立てて、自身の身体や心がぶっ壊れてどうしようもなくなっていることにも気付かず、『ただ生きてきた』だけのイキモノだった。

物心ついた子どものころから、眠る前には神様仏様に祈った。

『どうか、明日までに死ねますように』と。

目が覚めたら、今日も生きているという事実に絶望した。
気絶するまで殴られても、時間が経てば意識が戻ってしまう・・・
『どうか、お願いですから、もう殺してください・・』と懇願し、その願いはかなう事はなかった。

そんな生活が日常だった。

生きていることに絶望しながら、命根性汚く、生き残ってきた私は、焔に出会った。

『もう、自分の人生から逃げられないな』

そう思ったのを今でも覚えている。不思議な感覚に陥らせる女だよ、あんたはまったく(笑)

2年ぶりに私を見て、焔はがっかりしないだろうか?
どうやって楽しんでもらえばいいのだろうか?
私は、焔を抱きしめて、手を繋いで、離せないかもしれない・・・

嫌われたらどうしようか・・・

自分以外の人間に、「嫌われたらどうしよう・・」などという感情を持った自分に驚いた。

繋がりを途切れさせたくない大切な人間

に、嫌われたくない、という感覚が、こんなにも切なくて、甘く、苦しいものだとは知らなかった。

自身の感情を認識することすらできなかった自分の脳みそや心が、こんなにも波打つことがあるなんて、思い知った、今日は、そんな自分が少し愛しく感じる。


投稿者:柚葉

うちの上の子がさ、あたしのホムペやら過去日記やら、挙句にここも見てんのよ。
読者様なわけ。

彼女いわく
「どっちが焔で、どっちが柚葉?」
というくらい二人の語り口やら人生がリンクしているようだ。
「性描写」でどっちが母かわかったらしい。

あたしたち、世界中探してもなかなか見つからない対等な関係を築ける女子なんだ!
互いの話にひるまねぇ。
互いの話で共振を起こす。
互いが生きていくことだけを望んでいる。

そっち行ったら、酒飲んでぐた撒いて、そのあと、抱っこして寝てね。
少し、疲れたんだ。

-焔-

物心ついたころから、私の生きる為の基本は、

「自分の女性性を否定すること」

だった。

セックスという言葉は知らなくても、セックスという行為は知っていた。
それをすることで、まわりの男が非常に自己中心な喜びを感じるということも知っていた。

幼女
少女

として、生きた時期が私にはない。
”女”としての機能を備え持った、小さな女だった。
常に、子どもとしてでなく、女として男を喜ばせることをとことん仕込まれた。
小学生のとき、新卒の女性教師が、高学年の男子から性的なからかいを受けて、顔を真っ赤にして恥らっている様子を、覚めた目で見ていた。

アンタダッテオナジコトシテルクセニ
アタシハシッテルノヨ
オンナハミンナ、マタヲヒライテ、オトコヲクワエコムノヨ
イイトシシタオンナノクセニカマトトブルンジャナイワヨ



「先生、男の精子飲んだことないの?」


そう質問して目を真ん丸くしていたあの若い女性教師はどうしたんだろ?

女性性を否定して成長期を過ごした私は、自分の無意識下で、成長ホルモンを止めてしまった。
大人の女になってしまうのがよほど怖かったのだろうと思われる。
私をもてあそぶ男は皆、”女”を求めている。
”女”にならなければ、玩具にならなくて良い、と幼いなりに考えたのか。
義務教育を終えるまで、発育不良のままで過ごした。

心身ともに発育不良で、学歴もない、生きる術を持たない私は、結局女の部分を利用してその日のエサを手に入れることしかできなかった。皮肉なものだ。あれほど忌み嫌った”女”の部分を最大限に利用して、家を出た後は一度も生活に困窮したことはない。

今の勤務先の上司(取締役)が私の顔を見るたびに言う。

「本当にお前は抱き心地が良さそうな女だよなぁ」

酒の席だったが、それを偶然耳にしてしまった若い同僚が目をひんむいてフリーズしていた。

同僚が、思わずフリーズしてしまったその意味さえ理解できないのだが私は・・・
こんなことは、どこの職場に行ってもあることなので、何も感じない。

この上司は、遊びなれているだろう。そういうのは私は瞬時にわかってしまう。
私の前の飼い主だった男に似ているのだ。
性的な魅力があり、見た目も年相応の良い男である。
私を個人的に誘いたそうにしていたのは知っていた。
こういう男に、誘わせるよう仕向けるのは得意だが、誘われないようにすることには不慣れだ。

でも、もう、せめて私は、職場の人間とは、性的な目で見られたくない。

女であることからは逃れられないのだから、女である自分も可愛がってやりたい、と願う心が今の私には芽生えつつある。なので、こういう男のエサにはもうなりたくないのだ。
女として魅力的でなくていいから、人間として扱われたいと思う。

何が言いたいのかよくわからなくなってしまったが・・・・
私のからだは、わたしだけのもの、だ。
髪の毛の一本も、爪ひとつも。
わたしには、自分が気に入った男とだけセックスする権利がある、と思う。

投稿者:柚葉


私の生き方は、「痛い」といわれる。
「なにをそんなに生き急ぐのか」といわれる。

私には、許された時間はないのだ。常にカウントダウン。
体を壊している暇はない。傷ついている暇はない。
今の状態こそが天からの恵み、僥倖なのよ。
自分のしたいことを一刻も早く形にしなければならない。
その後フルタイムの派遣労働に戻っても、自分のしたい活動だけは続けられるよう算段を打たなければならない。

本当は、職場で働く人たちと仲間になりたいと思った。一緒にやれたら…なんて夢ももった。
一生懸命自分なりに今までの経緯の説明や、文章を見せてきた。
しかし、それは迷惑だったようだ。「暴露好きな人」「自己と他者の境界の持てない、何でも自分語りに持ってゆく人」と思われている。裏付けるデータがあっても、私はそんな話はしたくない。
私の友人が地獄を生き抜いた事柄・対処術や苦しみは、データなんかにしたくない。
けれど、私なりの頑張り(これ自体が間違っている恐れは十分ある)ではどうしてもわかりあえなかった。さみしい思いを抱えてきたことも事実だ。
でも、仕方ないのだ。

私は自分の本意ではないが、凄惨な虐待を受けてきてしまった。
おかげさまでいろんな機能が壊れているか、育っていない。
私は通常の人の精神状態に多大な影響を与えるようだ。要はショック状態にするほど過激な発言をさらっと言うのだろう。
本人にとってはこれは通常会話と信じ込んでいるので気づいていない。
人間公害のようだ。
ひどすぎる虐待を受けた人間は、通常の人間の見たくないリアルそのものだから、口を閉ざすか、消えたほうがいいのだろうかと思う。
生き残った意味を考えようとしても空しく涙が出る日もある。
でも、私にはミッションがある。通常を学ぼうと決めた。へこむ暇なんてない。


それでも弱い私は、
「たった一度の虐待だったら…」
とか
「まだ虐待されて泣けるうちに助けられていたら…」
と思ったことは正直ある。
でも、過ぎたことに「もしも」を想定したってまったく意味がない。


私の望みは、職場のものとは違う。
私は出向いてきた人に入居、生活、交流事業と称して援助するのは職場にお任せする。私の職場は全く素晴らしい職場だ。誇りを持ってそう言える。
私は理想を語れない。なぜならリアルのみに生きてきて、今後も逃げずにリアルに生きるからだ。私は人の前に「支援者」として極力現れたくはない。一人の人生を生きた女として、相対したいと思う。(スタッフとして働いているときは検閲が入って無理だけど) 世の中で知りたくないことは、とても多いだろう。知ってしまえば打ちのめされそうな現実もある。でも私は、両目をむしろ見開いて、むごたらしく、狂った現実を見る。
そしてその原因を考えていきたい。


そんな私は職場での支援に疑問を感じてしまうのだ。
「一番困っているのは、こない人じゃないの?声も出せない人じゃないの?」と。
わたしは虐待家庭→DV→シェルター→アパートと自由への階段を上ってきた。
しかしね、本当に苦しいのは、生き方を変えねばならないときなんだ。
社会資源につながるのは大事。屋根のある生活は本当に大事。
でも、自分につながっていない人は、ホームレスもアパートもさほど違いはないんだろうと思う。
彼らは「浮草」なんだ。根付く土がない。
自分を信じていない。自分を大事だと気づける経験を持っていない。


私はそんな人たちの地獄にできる限り添いたい。
死ぬ前に、走馬灯を一回転くらい回したっていいじゃんか。
年齢なんて関係ない。
今までの生き方を変えるその時こそ、だれか継続的にそばにいなくっちゃ、さびしくて正常な判断が下せなくなっちゃうと思う。
元の地獄に戻る人を、アフターフォローをせずにいた私は、決して責められないと思う。

やることに意味はないかもしれない。迷惑がられることも多いだろう。
でも私は「やる」。
いつだって、命懸け。子どもを育てる覚悟と同じ、生涯をかける。
ね、柚葉。いつかあんたと。

-焔-
アタマの足りないやつ、と思われているらしい。

プライベートではなく、職場で、だ。
仕事に関する能力が足りなくて、職場で多大な迷惑をかけているとか、そのせいでただでさえ安い時給を下げられたとか、給与がもらえらないとか、そういうのは実際に困るんだけど。。。

そうでなければ、まったく困ってもいないし、不愉快な思いもしてないのだけど、同僚の人たちが、私の事をあまりにもかわいそうだというので、どこがどんなふうにかわいそうなのかを、聞いてみた。

今の職場のチームには、派遣の私と、勤続7年くらいの(私から見れば)若い契約社員の女の子と、定年後嘱託として延長雇用になったおばさま上司がいるのだが、このおばさま上司がとんでもなくクセのある人なのだそうだ。

ただ、定年前にいた部署柄、素晴らしく人付き合いの幅が広いので、来社する人間のほとんどを存じ上げていらっしゃるという(舌噛んじゃった(笑))そういう面も、現在の上司たちにとっては、やりにくい、扱いづらいという面もあるのかもしれないが・・。

私より若い同僚たちが、そんなに毛嫌いする理由がイマイチ理解できない。

よけいなことばかりしゃべりすぎ=私は事情通なのよ!という自己顕示欲の表れでウザイ!ムカつく!

自慢話多すぎ&長すぎ(家族のことや、定年まで勤め上げ、部長まで昇格したことや、地元の有名人と知り合いだとか、自分の給与の高さや、子どもたちの自慢?)

他人のプライベートにズカズカ踏み込みすぎ!で、それを言いふらす!

「柚葉のことだって、『離婚して子持ちのくせに、こんな大企業に(地方ってのはこういうのがあるんですよ)たとえ派遣でももぐりこめたのは、色目使って人事部長に取り入って契約更新しているからに違いない!』とか言われてんだよ!!」

だそうな(笑)

人事部長なんて、かけらも知らない人ですってば。
だってフロアが違うし、かかわりのない部署だし、面接の時5分ほど顔みたくらいで、口きいたこともありませんって(笑)でも、おばさまの脳内では、そういうことになっているらしくて、あちこちの部署に行って、私の事をそういうふうに言いふらしているんだよ!と、今日同僚がえらい勢いで怒りながら教えてくれた。

「気付いてたでしょ?なんて言われてるか・・・」

(私は気付いてなかったし、気付いてもどうにもしようがないと思う・・)

「柚葉何にも言わないからババアだって付け上がるんじゃん!これって、明らかにセクハラだよ?」

(なんかこういう人って、男女かかわらずどこでもいるし、慣れてるし・・・)


そういえば、先日、私のいる部署のブースに同僚がきてて、雑談してたとき、

「Sさん、それっていくらなんでもあまりにも失礼な言い方じゃないですか!」

と、同僚が顔色を変えておばさま上司に怒鳴ったことがあった。

私は、そのおばさま上司が言ったことよりも、同僚がなぜ怒ったのか?がわからず、困った。

「あなたみたいな女は、パトロン探しに派遣で大企業を渡り歩くのよね~?で、良い男(ひと)は見つかったの?流し目ひとつ(このあたりが昭和を感じさせるなぁ(笑))で男なんてイチコロでしょ?」

と、そのおばさま上司が言ったからだった。

私が、派遣で転々としているのは、ただ単に、正社員として雇ってもらえるだけの能力もないからだと思うのだが・・・・目的があるとすれば、「その日一日をなんとか生きること」だけなので、そこまで考えてない。

きょとんとしている私に、怒っておばさま上司に反論していた同僚は、

「こいつは顔で笑って心で泣いて、ガマンしているんじゃなくて、自分が侮辱されている、ということが本当にわからないんだ。だから何に対して腹を立てているのかが理解できないんだ・・・。」

ということを悟らせたようだ。それも腹立たしい、というようなことを言われた。

私のために一生懸命になってくれる同僚の気持ちは、ありがたく受け止めなければいけないのだろうけど、もっともっと、いろんなことを言われて、それを日常として生きてきた私には、それほど激昂することとは思えない。

かたわ  

とか、

せいしんしょうがいしゃ

とか、

パンパン

とか、

平成生まれの人にはなんのことやらわかんないだろうな~と思われることを言われながら、つい数年前まで日常生活を送っていたので、すみません、と言おうと思ったが、

「興味本位の人間に楽しい釣りエサを与えるな!自分のことは極力話すな!」

そういわれていることを思い出し、引きつった笑いで適当に流してきた。

普通の人間らしく、こういった言葉を聞かされて、激昂する日がくるんだろうか?と思った。

そうなるためには、絶対的に欠けている「自尊心」とやらを育てなければいけない。

カタギの世界での経験もスキルも足りない。

脳みそだけじゃないんだ、私に足りないのは。
脳内妄想というものがあるでしょう。
あー飾った言葉じゃわかんないわね。要はオナニーの時のオカズ。

あなたはだれかと自分の2者での妄想を持っていますか?
(3P,4Pの複数プレイの妄想もちもいるだろうけどね)
あたしはだーれも出てきません。
一人です。
ただ複数の手や道具や何やらかんやらがいろいろ出てきて、あたしは子供で押さえつけられていて、くぐもった笑い声とともにいろんな格好にさせられる。カエルの解剖の時、「あーあたしに似てるな~」と思った。
痛いかどうかとかって覚えてない。ただなんだか大変なことになっていて、この格好はもう何分も持たないよとか、吐きそうとか呼吸ができないとか、とにかく命の危険を感じつつ、意識がなくなっちゃうんだ。

涎やら、涙やら、鼻水やら、おしっこやら、血やら、いろんな分泌物でぐちゃぐちゃ。
どーでもいーんだ。
どーでもいい物体だから、こんな風に放られるんだ。
あー笑いが止まらない。

肉体は緊張して硬くなる。無理やり侵入されるとミシミシと音がする。股関節が外れることもある。そして動かれると粘膜ごと持っていかれるから、はがれちゃうんだな。「キモチイイ?」なんてあほじゃねーの?殺されそうに痛いよ!からっからに乾いてるの、分かんない?おまえの唾くらいじゃどーにもなんねーんだよ。
それでも相手が終わるまでは人形でいなければならない。しつこく相手をさせられれば小さすぎた私は肉体の限界が来て筋肉がけいれんを起こし、失禁する。これを大分喜ばれたっけ。あのさー、これ、イッタんじゃなくて、死にかけたんだけどね。相手なんて、覚えちゃいねーさ。自分のことで必死。

世界に自分以外誰もいなかった。
だから、セックスなんて面倒臭い。
ひと肌がほしいとは思うけど、人と付き合うのは面倒だ。

あたしの性的ファンタジーには登場人物がない。通りすがりの知らないやつか、自分を男バージョンでもう一人作り出せば十分。
めちゃくちゃに犯してやる。子供のあたしを。しばらく歩けないくらいにな。
それを、今の私はスリップと呼んでいる。

私は風さんにもう一つ性的ファンタジーを作ってもらったので、通常は発情したら、妄想の中で彼と抱き合うことにしている。
まー誰かとセックスできる日などうーんと先だろうな~と思うが、だいぶ進歩したと思うんだ。

セックスはさ、ファックとは違うのよ。
脳でイクのよ。愛した相手だと。メンタルな生き物なんだわ、人間ってば。

-焔-
今日、どうしても会いたいんだ・・・と、ある人からメールが来た。

酒の好みが合う、わりと楽しい人。
この人は、力づくでセックスをしようとしないので、嫌いではない。
メールが届いたとき、勤務時間内だったし、少し忙しかったので忘れていた。

すっかり陽が長くなった夕方帰ろうとしたら、電話がかかってきた。

「もしもし?もう家に帰ったの?」

「ううん、これから帰るとこ」

「今日、昼休みにメール送ったけど見てくれた?」

「あ・・・・うん・・・」

このひとは、メールの返信を忘れたくらいで声を荒げたり、怒りの感情を持つ人ではないのだけど、なんだかすごく申し訳ないような気持ちになった。

「近くでいいからさ、少しだけ会えない?」

「夕べあんま寝られなくて・・ちょと二日酔いなんだけど・・」

「少しでいいんだよ、もう何週間も顔見てないし、今日は僕のお願いを聞いてほしい」

「えーと・・ごはんのしたくとかあるし、遅い時間になるけどいい?」

「いいよ、俺も一度家帰ってフロでも入ってメシ食ってくるし」

「じゃあ出られそうになったらメールするね」



帰宅してみたら、宅配便の不在票があった。
一ヶ月くらい前にネットで注文し、在庫切れだったDVDが入荷して届いていたようだ。
すぐにフリーダイヤルにかけると、担当者がまだ近くにいたようで、間もなく再配達された。


包装をぺりぺりと剥がし、食事のしたくも忘れてDVDに見入る。
外はすっかり暗くなり、気がつくと数時間経過していたので慌てて食事の支度をする。



「そろそろ向かおうかな?大丈夫?」

メールが届き、5秒くらい考えてからはっとした。
目の前からいなくなった人間のことや、その人間との約束を、一瞬で忘れてしまう鳥頭である。



「今日は見たいテレビがあるので(正しくはDVDだけど)やっぱり出かけるのやめます」

「・・・なんかちょっと傷ついた・・・。いつまで経っても僕は優先順位が下位なんだね・・」



私にはよく意味がわからなかったけど、とりあえず「ごめん」と謝った。


「とりあえず謝るのはやめて欲しい」と言われたが、私は「ごめん」としか言えなかった。





気候の良い、雲のない夜、月が出ていた。


今日は朧月夜だよ、とあのひとが言った。

そう、とだけわたしは答えた。

空を見てごらん?とあの人が言う。

私は、ガラスの檻の中から、夜空を見上げた。


酒のせいなのか、飼い主に飲まされた薬のせいなのかわからないけれど、私が住むガラスの檻の中からは、月がいくつにも割れて、オレンジ色ににじんで見えた。

今夜の月は、あなたにはどんなふうに見える?とあのひとが言った。

今夜の月は割れているわ、とわたしは言った。

檻の外に出たら、月も違う色に見えるかもしれないよ、とあのひとが言った。

檻の外に出たら、生きていけないのよ、とわたしは言った。


あなたは、ひとりで夜空を見上げたことがある?とあのひとが言った。

わからない・・いつも、俯いているから、とわたしは言った。


月に向かって、手を伸ばしてごらん、とあのひとは言った。


手を伸ばしても、わたしの足元は、真っ黒いヘドロの泥濘にしっかりと捉まっていて、自力ではその足を動かすことすらできなかった。

怖くないよ、ここまでおいで、と、あのひとは言った。


生暖かい液体が、わたしの頬を伝って、素足の上にぽとぽと零れた。


いつまでも塞がらない傷口に、じくじくと血膿を滲ませていないで、指を突っ込んでぐちゃぐちゃにかき回して、膿を、どす黒い血を出し切ってしまおうと、ふいに思った。


うずくまる私に、何度も何度も、とにかく生きるのよ、と、焔は言った。

月も出ない、前方5メートルも視界がない台風の夜、私は焔との約束を果たす為にガラスの檻をブチ破って、全身血塗れのまま、走り出た。




投稿者:柚葉
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